テーマについて(前置き)

私はその年ごとに気合いを入れたい娯楽を決めている。それは金銭面での負担を考えてのことなので仕方ないと思う。でも本当は、お昼ご飯をいかにして安く済ませようかと頭を悩ませることや、150円の小さくて美味しそうなパンよりも120円の安くて量が多いパンを選ぶこととか、そういう日々の“金銭的にも精神的にもケチって(我慢ではなくケチって)工面したお金”で得られる快楽と思いたくない。時間が空いたから映画を観よう、本を読みたいから喫茶店に行こう、お洒落をして舞台を観に行こう、っていう楽しみ方が美しいのにな、としょぼくれている。でもまあ親孝行もせずに自由にさせてもらっているのだから、そんな愚痴も言ってられない。

 

これを始めたのは2015年から。その前年、社会人一年目のとき、私は会社で一番お洒落ななお姉さんに面倒を見てもらっていたから、とにかく身なりを整えることにお金がかかっていた。でもまあ22年間ズボラに生きてきた人間が一年そこらで急に美意識が高まったりする訳もない。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋にでも落ちないと。二年目に配属が変わるとすぐに手を引いて、飢えを満たさないと…!となった。

 

2015年は映画を見る(映画館に足を運ぶ)ことにしていて、最初に見たのが確か岩井俊二のundo。(脱線だけどヘキをくすぐられるお話しで…。歯列矯正をはじめた女がいる。夫とキスをするときに器具が邪魔だと言っていたが、次第にそれがあることが当たり前になる。矯正器具が取れると、今度は無いことにお互い違和感を覚える。(確かそれを口にしたのは女でなく夫。女もきっと違和感があったのだけど、それを夫が口にしてしまったことが引き金になったんじゃないかなと思う)女はそのズレを埋めるために身の回りにある物を縛りはじめ、最終的には自分を縛ってしまう。強迫性緊縛症の女と、女を繋ぎ止めようとする夫のお話)その次に見たのがバックトゥザフューチャーで(実はこの時に初めて見た)、2の舞台が2015年という偶然に驚いて、やっぱり今年は映画だな、と思った。(実にちょろいなと自分でもがっかりする。ちょろすぎて逆にかわいくないですか)年間100本は見よう!と思っていたけど(この数字だって短絡的)、最終的には多分60本いかないくらいで終わった。半分以上はうんと頭をひねらないとタイトルも内容も忘れてしまったけど、一番良かったなと思ったのはイミテーションゲーム。結局それも半分は2013年の風たちぬに気持ちが引っ張られているのだけれど。

 

2016年。元々盛んに見ていたわけではないけれど、ご無沙汰になっていた舞台。映画に比べて値段が跳ね上がるから月に一本くらいにしようと思って、音楽ライブも含めて13本。で、年の暮れくらいにチケットを取っていたのが昨日観てきたキャバレー。主演長澤まさみ、演出松尾スズキで(くそやばい…)と思い、長澤まさみのビジュアル見た瞬間にほとんど無意識にクレジットを切っていた。

 

そして予備知識もなく「長澤まさみのキャバレー衣装なんて、拝みたすぎるでしょ…!」と軽率に繰り出したのだけれど、前置き長くなりすぎちゃったな。感想は気が向いたら書く。